由季ちゃんが教室を出るとき、「ん。」と手を差し伸べてくれた。
由季ちゃんの手は、想像以上に温かくて、ビックリした。
でも、それよりもっとビックリしたのは、由季ちゃんが今までより強く強く、しっかりと、手を握ったことなんだ。
由季ちゃんより小さな雪乃の手、折れちゃうかと思った。
「由季ちゃん…?なにかあったの…?」
不安になって問いかけると、由季ちゃんはニコッと笑って「んーん、なんでもないが。」と今までに聞いたことないような方言で言った。
「それなら、いいや。」
「雪乃、ごめんね?」
由季ちゃん、ごめんねは、雪乃の方だよ。
雪乃には、由季ちゃんが言う『ごめんね。』がどんな意味の『ごめんね。』か分からないの…分からないの。

