「なに書いてるの?」
「あ…代々木さん。」
ニコッと笑うと代々木さんはチョークを握った。
そして「あたし、文芸部なの。」と耳に髪をかけた。
うん、知ってる。
文芸部から発行されてる“それで、これはタメになる?”ていうのに、代々木さんの詩や小説が載ってるから。
雪乃は友達から貸してもらって読んでる。
中には、代々木さんのところだけ切り取り、ファイルにしている人もいるらしい。
「今暇かしら?」
「あ、うん。」
「じゃあ、テーマを決めて、黒板に詩を書いてみない?」
ニコリと笑った代々木さんに、雪乃はゆっくりうなずいた。

