初雪が、温もりでとけたとき




日々って、何気ない。
たとえば、いつもは真面目な由季ちゃんが「筆談しよっ。」て言うからやってたら、今日の今みたいに――



「こらぁ恵比寿!真面目に聞けっ!」


「す、すんません!」



て数学担当の先生に怒られるとか――。
それを昼休みや帰り道に笑うと、由季ちゃんも笑うの。



「んじゃ、部活行ってくる!」


「うん。」



元気よく教室を出て行った由季ちゃんを見送ったあと、雪乃はなんとなくチョークを握った。


カツン…と黒板に当たるこの音が、雪乃は好き。