「ごめん。まった?」 肩で息をしながら、由季ちゃんはやって来た。 雪乃は、首を横に振る。 すると、由季ちゃんは「よかったぁ。」と笑顔になって、雪乃の手を握った。 「雪乃手冷たーい。」 「だってぇ…。」 “昨日、メールできなくてゴメン。” もなければ “春のことなんだけど…。” もない。 それは、すっこく不思議である前に、不安だった。 昨日メールできなかったのは、森山春さんといたから? 言ってくれないのは、なんかやましいことでもあったの? ……ううん、そんなことない。ないもんっ……。