「初雪で凍りかけてた道で…、」
「タイヤがスリップして?」
「えぇ…。」
「手にはバスケットボールと包みが、握られていたんですって。」
由季ちゃんのご両親を、初めて見た。
できれば、こんな形で会いたくなかった。
目尻に涙を溜める2人に、雪乃はなにも言えなかった。
「あなたが…雪乃ちゃん?」
「は…い…。」
「はじめまして。由季の母です。…お母さんって、呼んでくれていいからね?」
必死に笑顔を作る姿が、痛々しかった。
『お母さんって、呼んでくれていいから?』て言われて嬉しかった。
きっと、由季ちゃんがいたら、もっともっと。

