ふと目に入った、
この部屋の制限時間。

それは、
4回目のタイムリミット。

つまり…サトシと話し始めて、
4時間が経とうとしている事を知らせていた。


『時間…』

『ほんとだ。入り直す?』

『でももう明け方だし』

『明日も来たりする?』

『わかんない。あんま来ないから』

『そっか…』



心の中で葛藤する。

もう話せないなんてやだ。
だからって、
ここに来たからってまた会えるかも解らない。
と、言うか…。
もしサトシが、来なかったら…。
もう、話せないの…?

でも、女から連絡先聞くなんて…。
ナンパみたいな事、出来ない…。
引かれたらどうしよう…。
サトシにそんなつもりなんかなくて、
明日も来たりする?って言葉は、
社交辞令だとしたら…。


だけど…。







『連絡先交換する?』


気付いたらあたしはそう返していた。


『え?いいの?』

『うん。ここでまた会えるか解らないし…。
 サトシともっと話したいから』


…言っちゃった…。

チャット慣れしてるって思われるかな…。
事実だけど…それは嫌だな…。



だけどそんな不安とは裏腹に、


『聞いちゃいけないかと思ったから嬉しい』


と言う文字が目に飛び込んできて、
あたしはほっとして深く息を吐いた。


『真愛と話してるのが楽しいから』

『あたしもだよ』




サトシは自分のアドレスを打ち込んでくれて、
あたし達は4時間を共に過ごした、
そのバーチャルの部屋の扉を、
静かに閉じた。