その男はさっきまでは被っていなかった黒いパーカーのフードを被りゆっくりと女性に近付く。


そして女性のすぐ真横に着くと女性の身体に右手をかざす。


次の瞬間俺は我が目を疑った。


なんと女性の身体から光る尾をひく白い玉の様なものが出てきたのだ。


男は野球ボールくらいの大きさのそれを片手で捕まえる。


それから勘違いかもしれないが男は俺の方を向いて黒い笑みを浮かべ消えた。


あの時はっきり理解した。


“奴は死に神である”という事を。


あの日以降も俺には死に神が見える。


勿論その男が憑く人間が死ぬ何日か前に。


だが死ぬのが分かっても俺はどうする事もできない。


せっかく死を告知されてもそのまま指をくわえて傍観者となるだけ。