突然話しかけられカタリーナは驚いた。


振り返って見ると店主は猫の頭を撫でながらこちらを見ている。


カタリーナは人形に目を戻し店主に答える。



「ええ。とっても綺麗よ。」


「それ日本人形なんですよ。」


「ニホン?」


「ヤーパンの事だよ。」



カタリーナは少し黙って何か考えてから再び口を開く。



「確か日本はサコクとかいうものの最中じゃなかったかしら?」


「そうなんだがどういった経緯か知らないが流れに流れてうちにやってきたんだ。」



カタリーナはふーんとだけ言うと人形に顔を近づけもっと間近で人形を見つめた。


本当に美しい。


見れば見るほどそのすべてが妖艶(ようえん)に見える。



「気に入ったようだな?よし、その人形をお前さんにあげよう。」