十九世紀


ドイツ


仕事を終えた一人の女性、カタリーナ・マイアーが家路を急いでいるとある店の前で歩みを止めた。


骨董屋である。


その店の窓から見える人形に目が奪われたのだ。


女性は何かに引き寄せられるかの様にその店の中へと入っていく。



カランカラン



「いらっしゃい」



ドアについたベルが鳴ると共に店の奥から嗄れた(しゃがれた)声が聞こえてきた。


カタリーナは迷わずあの人形のもとへと行く。


それはとても美しい見たことのない正装した綺麗な人形。



「素敵…」



人形の前で魅入られていると店主が声をかけてきた。



「娘さん、それが気に入ったのかね?」


「えっ」