前事


十八世紀


当時まだ鎖国をしていた日本と、貿易をしていたヨーロッパ唯一のオランダ。


その内の一人のオランダ人商人が日本人商人とまるで傾蓋、旧の如し(けいがい、きゅうのごとし)のように親しくなりました。


そしてオランダ人商人が日本を去る際に日本人商人は密かにオランダ人商人に一体の日本人形を渡しました。


それはとても美しく誰もが魅入られるほどの素晴らしい人形でした。


オランダ人商人が母国に帰るとその人形を自分の部屋の一番奥の棚に隠してしました。


オランダ人商人はあまりにも美しい人形を他の者に見せたくなかったのです。


だから必ず夜にだけひっそりとその人形を見ていました。


しかしある日突然人形は消えてしまいました。


変死体となったオランダ人商人を残して…