「別に構わんが、わしを殺さんでおくれよ? …もう直ぐ夜明けだ。自分で棚に戻ってくれ。」 骨董屋の店主は店を閉めると店の奥へと入っていった。 「殺さないさ。今は…」 時嗣は骨董屋に聞こえないように小さく言った。 それから日は昇り時嗣は人形に戻る。 そして今日も何食わぬ顔をして店の棚から次なる犠牲者を誘惑する。 殺人人形は母国への帰路を失う代わりに奇人の快楽を得たのであった。 -壱 日本人形-終わり