「でもな、斬っていくうちに気付いたんだ。人間を殺す事は愉しい(たのしい)って事に!!」



一瞬にして骨董屋の店主の背中に悪寒がはしった。


それも無理がない。


人間である自分の前で殺しが愉しいなんて言う奴がいれば誰でもそうなる。



「斬りつけた時に握り締めた刀から伝わるあの感じは人形の俺にとっては新鮮そのもの。今となっては日本に帰るだなんて二の次だ。」



そのあまりにも迫力のある整った顔に骨董屋は冷や汗を流す。



「…とんだ曰わく付き人形だ。」


「ふん。なんとでも言え。俺は半年後に次の街に行くつもりだ。それまではここにいる。」



骨董屋の店主は一度咳払いすると窓の外を見た。