右も左も上も下もない、四次元空間のような暗闇を進んでいく。


特に目印も無さそうだが、金髪はただ一点を目指して飛んでいるようだ。



「抜けるぞ。」



金髪は右手を前に突き出し、大きく円を描くように腕を一回回す。


すると円を描いた場所から徐々に光が差し、それはどんどん大きくなっていく。


最終的にそれは人一人通れる程の光の穴になった。


その穴に金髪は飛び込む。


闇から抜けたそこは、私が死んだとされるエントランス付近の階段上空だった。


すると金髪は魂の私に軽くキスをしてきた。


同時に私は魂から人型に戻る。


だが、人型に戻っても微妙に透けていたり、宙に浮いているといった点で、正確に言えば人ではなく霊であるということを思い知らされたが。


一先ず階段付近をキョロキョロと見渡す。


だが、何だか違和感がある。



「ねぇ、私って本当にここで死んだの?」


「そうだ。」