「具体的に我々の存在を示す単語がないのですが、人間の言葉で言うならば、私が“天使”で彼が“死に神”というのが一番近いでしょう。」



天使だと言う銀髪は、私の真横に座っている態度のでかい金髪もとい死に神を指し示しながら言う。



「天国とか地獄はないのに、天使とか死に神はいるんだ…。」


「仮の名称ですけどね。」



銀髪はフフと笑う。



「そして我々の仕事は“魂の最期の願い”を叶えること。」


「最期の願い?」



私は首を傾げる。



「消滅前に、心残りがないようにするんです。あまりに強い念を持ったまま消滅されると、精製に支障がでるので。」



すると突然銀髪は私の目の前を指差した。


その指を寄り目で見る。



「特に、今のあなたみたいな方。後処理が大変なんですよね。」


「なっ!」



言い返してやろうとしたのに、指差されたその人差し指を唇に押し当てられて阻まれた。