見上げると、そこには黒のパーカーにジーンズでスニーカーという姿の青年がいた。


青年は少し長い派手な金髪をかきながら私に背を向けてソファーの方に向かってく。


その姿を目で追っているとまた別の誰かに突然声をかけられた。



「はじめまして、有賀百合(ありがゆり)。こちらへどうぞ。」



今度は先程の青年とは打って変わって、かなり身なりの整った青年である。


白いシャツに赤いリボンタイ、黒のパンツに革靴といったところだろうか。


髪は金髪の青年より更に長く、サラサラした銀髪を低い位置で一つに結わえてある。


その青年に差し出された手を掴み立ち上がる。


そのまま促されながらソファーの元に行く。


なぜ自分の名前を知っているのだろうと些(いささ)か疑問を抱きながらも、どうぞと言われたソファーに腰を下ろした。