「──い…っ─」



暗闇、誰かに呼ばれた気がした。



「─おっ…!お……ろ…!─」



それはどんどん近くなって来て、私はぼーっとしている頭で聞いている。



「─っおい!起きろ!!」



でかい声の後頬をペチッと叩かれた。


それによって完全に目を覚ました私はむくりと起き上がる。


辺りを見渡すとそこは見たことのない部屋だった。


西洋風の壁は古くとも趣のある感じで、床にはワインレッドの絨毯。


広い部屋の周りはほぼ本棚で、そのほとんどにやたら分厚い本が沢山並んでいる。


部屋の中央には随分と豪華な対面式のソファー、その真ん中には机、更にそれらの奥には社長専用みたいな机もある。



「たくっ、起こすのに苦労したのなんか何年ぶりだよ…。手間掛けさせやがって。」



座り込んでいる私の頭上に急に降ってきた声に反応し振り返った。