そこにいたのは何といつかの小学生くらいの女の子だった。



「大丈夫?」


「あっ、ああ…。」



誠の安否を確かめると影の女子高生の前に立ちはだかる。



「よくも“私になりすまして”、誠に取り憑いてくれたわね。」



とても幼女とは思えない淡々とした口調で言う。


その姿をまじまじ見て誠はこの女の子をあの時だけでなく、他に何度か見たことがある事に気付いた。


それはまだ誠が小さかった時の遠い日の記憶。


美代子が何度か見せたアルバムの中。


そして今でも居間に飾ってある、もうこの家の住人ではない女の子の写真。



「姉…さん…?」



ピクリと声に反応した女の子は振り向き笑って見せた。


いつも気にも留めないあの居間の写真と同じ笑顔だ。


再び影の女子高生の方を向くと一旦両方の拳を強く握る。


それを緩めると、どういったからくりかその手にクナイと護符らしきものを握っていた。