東京のとある一角に巷で有名な占い師がいる。


彼の手相占いは兎に角良く当たる。


そのためいつでも店の前は女子高生から中年男性まで列を連ねていた。



「……一週間後、水に注意して下さい。そうだな、特に川には近づかないで下さい。…ゴホッゴホッ」


「はい!有難うございます!」



今夜も“良く当たる占い”で店は大繁盛だ。


それもそのはず、占い師白井大吾(しらいだいご)は実際にその対象の未来を見てその人にとって幸せだと思う結果を言っているのだから。


彼は対象となる者の手を握ると最大で二ヶ月先の未来を見る事が出来る。


初めてこれが出来るようになったのは十二歳の時。


初めは三秒先の未来しか分からなかったが年齢と経験を重ねるごとに見える未来が伸びていった。