「あ」 彼女はそう言うと僕の方を向いた。 「何?入部希望?」 さきほどまで横を向いていたためわからなかったがなかなか整った顔をしている。 「あ、いや、えっと…これを見て来たんですけど、見学を…」 そう言って僕はチラシを見せた。 「あ?あああぁ~?うーん?」 彼女は立ちあがってグイっと顔を近づけてきた。 身長は僕より高い。 黒く長い髪がサラっと揺れた。 「…あの、近いんですけど…」 5センチもないんじゃないかと思うほど近くで彼女の顔を見る。 やっぱりきれいな顔だ。