「…あ、そ」
「えーと…美紅ちゃん?だよね」
美紅は急に名前を呼ばれて顔をこれでもかと言うほど真っ赤にした。
「何か食べたいものとかある?」
「……お、おむらいす///…」
「じゃ、今作るね。」
美紅は文句一つ言わずに動く依奈に惹かれていた。
彼女は兄の彼女じゃないと言ったし、兄も彼女の扱いの素振りを見せなかった。
ならば、きっと友達なのだろう。
美紅はそう思った。
「…何処になにがあるかわかんないでしょ?手伝う!」
何より、お母さんみたいだと思った。
お姉ちゃんでもいいけど、ずっと母親がいなかったせいか依奈に影を被せてしまう。
「ほんと?ありがとう!」
心から嬉しそうに笑う彼女は可愛い。
この人なら、お兄ちゃんの彼女でもいいかも。
今まで家に来た中で一番いい。
ぐい、
美紅は依奈の服を引っ張る。
「…名前、なんていうの。」
「あたしは、幾多依奈…よろしくね」
「依奈、お姉ちゃんて…呼んで、いい?」
おずおずとそう答えれば、依奈は嬉しそうに頷いた。
