「ほ、ほんとに泊まってもいいの?…あ、あたしなんかが…」
「うるせーな、いいから連れてきたんだろうが」
悠真は依奈を無理やりバイクからおろし、強引に彼女の荷物を奪った。
きょとんとしていると 行くぞ と言う。
「荷物…ありがとう」
悠真はきっと、本当は優しいのかもしれない。
依奈はそう思いながら彼の後を追った。
*
がちゃり、
大きな扉を開ければ一番最初に目に飛び込んできたのは広い廊下。
どこかの旅館のような雰囲気に依奈は驚く。
「おじゃまします…」
靴を脱ぎ、隅のほうに揃えるとおずおずと家の中に足を踏み入れた。
だだだだっ!
刹那、誰かが走る音が響く。
「お兄ちゃん!!おっかえり!!」
がばぁっ!
依奈は目を見開いた。
髪をツインテールに結ぶ小学校高学年くらいの女の子が悠真に抱きついてきたのだ。
「…離れろ、美紅。」
美紅と呼ばれた女の子は軽く舌打ちして悠真から離れた。
