「………」
「そう怒んなよ」
今度こそ悠真の家に向かっている。
バイクの後ろに座る依奈はもちろんムッとしていた。
「…眼鏡割れちゃったし」
さっき喧嘩で蹴りをいれた時落として割ってしまったのだ。
今は予備のコンタクトをしている。
すれ違う人々が二人に注目していることに
悠真だけが気付いていた。
「あの子可愛くない?」
「前に乗ってる人もイケメンじゃん!彼氏かな?」
その会話は依奈にも聞こえたようで顔を赤くして
俯いた。
悠真はにやりと笑う。
「ブス、俺とマジで付き合うか?」
「つ、付き合わないよ!…悠真くんはあたしを好きじゃないのに、付き合いたくない…」
あたしも、好きな人居ないし。
軽いノリで付き合う事はしたくないのだ。
バイクが突然大きな家の車庫へと入っていく。
「…ここが、悠真くんの家?」
「ああ。」
「おっきい…」
そこら辺の家の三倍はある家に依奈は目を丸くした。
