あっというまに囲まれた。依奈は絶句する。
悠真は相手を殴る。
相手も攻撃してくるが、避けれる範囲は限られている。
「っ、依奈…テメェ、ただで俺ん家泊まらせると思ってんのか?」
切れた唇を舐め、悠真は余裕そうに言う。
要するに、 喧嘩に参加しろ と言いたいのだろう。
「おい、このブスどうすんだ?」
高校生の一人が依奈の腕を掴む。
「ブスに用はねえから潰せば?」
「暇潰しにはなるだろ。」
依奈は目を見開く。
人とは思えないひどい発言に体が自然に動く。
ガッ!
まっすぐ、腕を掴んでいた相手の鳩尾に蹴りが入る。
その衝撃で眼鏡が落ちた。
「なめた真似しやがって!」
キレた高校生が次々に依奈に向かってくる。
それをなんなくかわし、依奈は次々に気絶させていった。
悠真はにやりと笑い、動きを再開させる。
「サイコーだぜ、依奈」
初めて彼女の名を呼んだ。喧嘩の中、1人の女が戦う姿は綺麗だ。
ストレートに、なんの躊躇いもなく殴られていく相手はなす術がない。
