「へ、変なこと言わないでよぉ…」

彼女が力なくそう言った直後、バイクは急停止した。

場所は堤防。
「…あれ?」

「家行く前に、やる事あんだよ」
悠真はバイクから降りる。
依奈も躊躇いがちに降りた。

「ブスをわざわざ連れてきた理由…教えてやろうか?」

彼がそう言った直後、向こうから柄の悪そうな高校生が歩いてくる。

…ええっ!?

「…佐藤悠真、女まで連れてきて余裕だなあ?」

「テメェに言われたくねえよ」
悠真に負けないくらいの迫力で睨んでくる高校生に依奈は泣きそうになった。

柄の悪そうな高校生はざっと十人。

「…ゆ、悠真くん…?」
「あ?」

「な、なにする気…?」

「分かるだろ、んなくらい」
手の関節をバキバキと鳴らす。
依奈は表情を真っ青にする。

「掃除だ。…カスのな。」
「野郎…!」

十人が悠真に向かって走り出す。
いくら彼が強くても勝てるはずがない。