いつもなら、きっと依奈は うん…ごめんね と言うだろう。
しかし今日は違った。
「…へらへらしてるんじゃないよ、もうアパート出ていかなきゃいけない事は変わらないんだから、しっかりしようとしてるだけ」
大人だと感じた。
壁を感じた。
「…。」
依奈が好きだ。
けど姉は自分と正反対の性格だ。
腹違いの姉。
それだけでもまわりと比べて不利なのに…。
いっそ、言ってしまおうか?
「…依奈、」
「ん?」
「俺、…」
雰囲気が変わった。
なんだろう、と首を傾げる。
どうせ、アパート生活は終わる。
一緒にいられる時間も少なくなるだろう。
そうなる前に、言っておこう。
「…依奈が、好きだ」
「それって…?」
どういう意味?
「駄目だってわかってる、腹違いっていっても…姉弟だから…けど、恋愛対象としてしか見れない。
返事とか要らない、ただ言いたかっただけ。」
