依奈は荷物詰めにとりかかった。

明日より、今日終わらせたほうが楽だし。








*

『奏、アパートでるって本当か?』

佐藤悠真からの電話。
奏は うん と告げる。

『明後日、俺の家来いよ。もちろん、ブスも』
「あー、明後日は秋の家泊まるから」

『秋か…、わかった』

ここで電話が切れた。
不思議に思い、一度携帯を見てポケットに突っ込む。

「…悠真、」
何を考えてるんだろ。

「奏くん、ご飯食べる?」
「……うん」

最近だいぶ丸くなった気がする。夕飯を食べると言ってくれた事に微笑んだ。

「…奏くん、やっぱりあたしは好きだよ。」

「うるせーよ」

弟が好きだ、やっぱり優しい。家族になれてよかった。

依奈エプロンをつけてキッチンへ向かった。

「奏くん何食べたい?」
「別に、なんでも」

いちいち煩いな、と感じながらも奏は笑った。

こういうのも悪くないかも。