「なんか、大変な事になったな!」
秋は頭の後ろで腕を組ながら言う。

「どうすんだ?」
「…学費だけはバイトして貯めるしかねえな」

奏の言葉に秋が馬鹿にしたように笑う。

「お前がバイトできんの?絶対客とケンカしてクビになるだろ!」

「んなことねえよっ!」
やるときはやる。
そう言い張る奏に、冬木は一冊の本を出してきた。

「こういう時のために、僕がバイト募集してる店の本持ってきたよお」
「…用意良すぎだろ」

「奏くんにオススメなのは、ここだ!」
冬木はあるページを開き、奏に見せる。

「こ、こんなとこでバイトできるわけねーだろ!」
「どれどれ?」

横から秋が覗きこむ。
「うわ~、でも奏ならヤれる!」
「できねえよ!」

依奈も見ようとしたが、奏に隠されて見れなかった。
とにかく、どこかバイトを探さなければいけない。

「…あ、あたしはファミレスにするよ。丁度、バイト募集の紙でてたし」

「…依奈はしなくていいよ」
奏がそっけなく答えた。