「奏、依奈ちゃん、俺ん家に来いよ。二人くらい面倒見れるし?」

「そ、奏くんがきてくれるなら僕大歓迎「冬木兄は黙れ」

秋の一言で冬木は黙る。

「でも、いざとなったら実家に帰ってきてもいいんだ。それだけは覚えておいてくれ」

「…うん」
依奈は頷いた。
父親はいい終えると立ち、玄関に向かう。

「あ、お父さん!」
依奈はすかさず呼び止めた。一つ気になる事があったのだ。

「どうして、奏くんの跡つけてたの?」

「アパートの住所を尚子さんに教えてもらったんだけど間違っていてね…奏の跡をつけて居場所をつきとめたんだ。」

尚子、久しぶりに依奈の母親の名前を聞いた気がした。

「初めから聞くか電話しろよ!!」
「ああ、それどころじゃなくて思いつかなかったよ。」

相変わらず天然だと思った。依奈に似ている。やはり親子だ。

「もう来るな!」
「はは、奏は厳しいなあ」
苦笑しながら父親は出ていく。
少しだけ可哀想だと思ったが何時もの事だ。