「父さんの会社が、倒産したんだ…」



沈黙。
シャレなのか真面目に言っているのか分からない。
四人は笑うに笑えない状況にいた。

「へ、へえ…だから?」

「学費が払えなくなった…父さんが新しい仕事を探すまで、アパートの家賃も払えないんだ…」

「じゃあどうすんだよ!俺等どこで生活すればいいんだ?!ふざけんなよ!」

父親はどうすることもできない。
ここから実家に帰りそこから高校に通う事になれば約5時間はかかるだろう。

交通費もかかるため、今以上にお金がかかる。

それ以前に転校だけは嫌だった。

「…お父さん、あたし、バイトするよ?」
だから心配しないでという依奈に父親は目を潤ませる。

「依奈ぁ…なんていいこなんだ!」
ぎゅうっ!

身を乗りだし、依奈を抱き締めた父親に彼女は照れる。

それを不愉快そうに見る男が二人。

「ぜんぜん大丈夫っすよオジサン。俺等がいるんで。」
秋は依奈から父親を引き離す。