秋は冬木の頭を踏み潰し、奏を見た。
「他にも奏を狙ってるやつがいるって事だな」
「めんどくさ…」
はあ、とため息をつけばチャイムが鳴る。
次から次へと、訪問してくる人に呆れ気味だ。
「はいはい今あけますよー」
ダルそうにドアノブをまわし、扉を開けた。
「こ、こいつだあっ!昨日みた不審なヤツは!!」
冬木が声をあげた。
秋はさらに強く踏みつけた。
「…父さ…ん」
「…ふう、やっと見つけた。奏、依奈」
懐かしい面影に依奈は言葉がでない。
秋と冬木はぽかんとしていた。
*
場所は変わりリビング。
目の前のソファーには父親が座っている。
自分達は四人ぎゅうぎゅうになりながら座っていた。
「奏、…依奈…、大事な話がある」
「今更なんだっていうんだよ」
奏は父親を嫌っていた。
コイツが浮気したせいで、自分が生まれてしまったから。
家庭がややこしくなってしまったのはコイツのせいだ。
