「…ちげーよ」
そう返すのが精一杯だ。
無理やり受け取ったコーラを飲みながら、ため息をつきたくなった。

「名前は、確か…依奈ちゃんだっけ?」
「幾多依奈、高3やろ?…めっちゃいいやん。俺年上タイプなんやけど」

奏をからかう口調で薫は言う。さきほどからイライラしている奏は口を開いた。

「絶対駄目だから。あいつは俺のだ」

「…はいはい。分かってますよー奏ちゃん。」
「さっきから…奏ちゃん言うな、薫。」

「かわいいやん。なあ?秋」

「…依奈ちゃんかあ~可愛いなあ~」
既に上の空。

「あかん、聞いてへんわ」
「ッ!秋!だから依奈の事は忘れろって!!」

いつものクールな奏は何処へいったのか。
取り乱す彼をみて、薫は声をだして笑った。