「恵美ちゃん…?」
「薫、時間ないわよ」
「あ、そやったなあ。」
まるで薫と依奈を引き離すように腕を引っ張り映画館を出ていく二人。
「…どうしたんだろうな。」
秋は尾行がバレた事よりも二人の変化の方が気になった。
依奈はこのまま恵美との関係が崩れていく気がしてならない。
そう考えれば、いても立っても居られなくなった。
「恵美ちゃん!!」
自分でも驚いた。
思った以上の声だった。
恵美と薫、秋までもこちらに注目する。
「…依奈、」
「あたし、あたし…、」
言葉を出そうとすると涙がでそうになる。
恵美は困ったような表情をしたあと薫に
ちょっと待ってて と言った。
「依奈と少し話ししてくるから」
「なるべく早くしてや、時間ないんやで。」
「わかってるわよ。」
恵美はそっけなく答えると依奈の手をひいた。
