映画が終わった後、自分と顔をあわせようとしない秋に苦笑していると前の座席から二人がやって来た。
「お…なんや、お前らも見とったんか」
「依奈じゃないの、それに…山本秋。」
バレた。
尾行中止決定←
恵美は秋をみてあからさまに嫌そうな表情を見せた。
「き、奇遇だな!///」
「なに頬赤くしてるんや秋。キモいで。」
「うっせえなあ!!いいだろ別に!」
理由を知っている依奈は何も言えず口をもごもごさせる。
その様子を見て、にやりと笑った薫は彼女の耳元に口を近づけた。
「秋とキスでもしたん?」
「ち、ちがっ///」
「可愛い可愛い」
完璧年下扱い。
頭を撫でてくる薫の腕を払う。
「薫、依奈をからかうのやめなさいよ。」
あれ、名前…。
昨日までは 橘薫 と、フルネームで呼んでいたのに今は違った。
依奈が恵美を見ると、それに気付いた恵美が笑った。
いつもと違う、作ったような笑顔に依奈は戸惑う。
