二人して物陰に隠れて前の様子を伺うと、映画館に向かって行った。
「…あの二人、あんなの見るのかあ!?」
いかにもグロそうな題名の映画のチケットを持っている。
ブラッド。
今流行っている映画らしいが、かなりグロい。
依奈に見る勇気がない。
「あ、ああああ秋くん…あたし、帰る」
「だだだだだめだって!悠真先輩に怒られる!」
強引に腕をひかれ、依奈は連行された。
チケットを二枚買って中へと進む。
薄暗い中、薫と恵美を見つけ二列後ろに座った。
「…こわい」
「まだ始まってもないだろ!」
「…あたしホラー系だめなのに」
始まる前から泣き言を言っている依奈を宥めるも、自分もかなり苦手だ。
尾行どころか、目の前の映画を見て終わりまで持つか分からない。
…始まった。
大音量で流れ出す迫力ある音とシーンにすでに秋と依奈は涙目だ。
二人の様子を伺っている暇などない。
