『そうそう!……じゃあ、依奈ちゃんでいいや。今すぐ駅前来れる?』

「え?、今すぐ?」

『うん、今すぐ。』
「…い、いいけど」

今日は土曜日。
予定は無いし大丈夫だろう。
『じゃあ来いよな!…あと10分で』
「えぇぇえ!」

がちゃり、ツーツー、
そこで通話が終了した。
依奈は慌てて髪を整える。

着替えはすでに終わっていたためにする必要はない。

眼鏡をかけなおし、髪を結ぼうと思ったが時間がない。

依奈は鞄をひっつかみ、ダッシュで駅前へと向かった。



「はあ、はあ、…や、山本くん…」
「おはよ、依奈ちゃん」
秋を見上げれば制服の時とは違い、格好良い。

今思えば彼はあまり不良に見えないと思う。

「うん、…おはよう。」
「じゃ、行こう」

急に手を掴まれ、歩き出す。まわりの人達がこちらを見てひそひそと話している。

秋と依奈が釣り合わないように見えるためだろう。

依奈はメガネスタイルのため、仕方ない。
秋はまわりの視線を気にせず、早足で進んでいく。