機嫌が良い依奈の携帯に恵美から着信があった。
ピ、
「もしもし?」
『依奈、おはよう。』
「おはよう、恵美ちゃん。どうしたの?」
『ちょっと依奈に相談したい事があって…』
真剣な声音に依奈は耳を傾ける。
「なに?」
『昨日、橘薫からメールがきたんだけど。』
どくん、
心臓が高鳴る。
…橘薫。
名前を聞くだけでもドキドキする。
「どんなメールがきたの?」
『【明日、映画行かん?】って…』
これって、デートのお誘いかな?それとも何かたくらんでるとか…。
恵美は本当に悩んでいるようだった。
どうすればいいか分からない。
普通のカップルなら 行く! と言えばいいのだが、恵美の場合はそうではない。
「…恵美ちゃんがいいなら、行ってもいいと思うよ。」
『そっか、うん、そうよね!依奈、ありがとう。もし何か企んでたら急所蹴ってくるわ!』
依奈は複雑な心境で うん と言った。
恵美の楽しそうな声音。
もしかして、恵美は本当に薫が好きなんじゃないか?
