「出頭しろ」
「は、はい!分かっております。」

顔はぼこぼこに腫れ上がり、見ているだけで痛々しい。

「…痛そう。」
依奈の素直な感想に、奏は顔をしかめる。

「とにかく、行くぞ」
奏は無理やり下着泥棒を立たせ、警察署へと向かう。

「お前等どうする?」
「一応行くわ。な?」
「え、あ、うん」

言われるまま依奈は頷いた。格好はそのまま、靴にはきかえると二人の後に続いて外にでた。

警察署前で下着泥棒を離し、自分で行ってこいと奏は行った。

怯えながら出頭した下着泥棒を満足そうに見届ける。

「なんで奏くんは一緒に警察署に行かなかったの?」

「俺が捕まるかもしれねーだろ」
「え?なんで?」

「ボコったから」

…自覚あったんだ。

依奈は少しは手加減してあげればよかったのにと思った。

「なんか腹減ったぁー!」
「それならどっか行かへん?」
「薫のおごりならな」
「…しゃあないなあ。じゃ、行こか」

とんとんびょうしで話が進んでいく。
依奈はどうしていいか分からず立ち止まる。

「何してんだよ」
「…あたしも、行っていいのかなって思って…」