放送禁止用語を言おうとした奏を慌てて止めると、依奈は半泣き状態で二人の間で引っ張られていたパンツを取った。

「…のびてる」
ゴムが伸びていてもう使用できないくらいになっている。

「依奈ちゃん、そないに落ち込まんといてや。」
「パンツくらいまだあるだろうが」

「も、もとはと言えば二人のせいでしょ…」

「もとはと言えば薫のせいだ。」
「オレのせいやないやろ。下着泥棒のせいや。」

「おお、そうか。」
二人は納得し、震える不審者をみてにやりと笑った。

「依奈を狙ったのが運のつきだな」
「や、やめてくれえっ!」

「 む・り 」
語尾にハートがつく勢いで告げた。
「依奈、目綴じてろ」

「ちょ、ちょっとまっ…!」
ゴッ!
痛そうな音が辺りに響く。依奈は慌てて目を綴じた。

不審者の悲鳴が響くなか、どうか彼が生きていますようにと願うのだった。





*

数分後、
「どうもすいませんでした。」

そう言い土下座する下着泥棒がいた。