「依奈ちゃん。」
薫が手招きする。
依奈は何だろうと歩み寄るとそのまま抱き締められた。
「わ!」
「依奈ちゃんをおとりにするのは反対やで。絶対そこらのオッサンに食べられてまうわ。」
「とくにお前みたいな奴にな。…依奈を離せよ」
奏が睨むと薫は抱き締めていた手をぱっと離す。
「おー怖」
「…依奈、アパートの周りを一周歩いてこい。
」
「ええ!?」
「下着泥棒をおびき寄せる。」
「大丈夫、オレが後ろからこっそりついてったる。」
依奈は渋々頷いた。
とにかく、下着を返して欲しい。
あれは買ったばかりでまだ二回くらいしかはいてないのだ。
ローファーをはくと、奏に言われるままアパートを出た。
薫と奏は数十メートル後ろからついてきてくれている。
そのかいあってか、怖くはなかった。
何事もなくアパートの周りを一周し終えた。
依奈はアパートに戻り、自分の家のドアを開ける。
あとから奏と薫も入ってきた。
