教室の窓からその様子を見ていた悠真は、フッと笑った。

「…たしかに、美人だな。」
「やろ?」

「依奈ちゃんやっぱ可愛い~!」
依奈ははあ、と息をはく。
一番厄介な人達に素顔がバレてしまったらしい。

恵美にはどうすることもできない。

「…私も、帰る」
鞄を肩にかけ、教室を出ようとすると薫が口を開いた。

「オレが送ったる。」
「は?」
「一応、つきおうてるし」

「え!薫付き合ってんの!?」
秋は声を張り上げる。
薫はにやりと笑った。

「その方が、依奈ちゃんに会う機会増えるやろ?」

ズキズキと心臓が痛む。

「あ、そーゆー事か」
秋は納得、といった感じで笑う。

「…やっぱ、最低ね」

「そんなことないやろ?恵美ちゃんはオレの事好きなんちゃう?」

違うと否定したいのにできない。
好きになってしまってる自分に気付いてしまった。

「…そうよ、悪い?」
「いっとくけど、オレはあんたには興味ないわ。」

ほな行こか。
形だけ手をとる薫の存在が遠く感じた。

後ろで、それをみてバカにしたように笑う悠真と秋がいる。