「幾多依奈、奏の姉だろ?」
悠真の言葉に依奈は助けを求めるかのように奏を見た。
奏は仕方ない、といった感じで頷く。
「…うん。」
「やっぱりな、全然似てねえし分からなかった…片方ができてると片方がブスになるんだなあ。」
「悠真、それはちゃうで。」
薫の言葉に悠真は あ? と声をあげた。
「依奈ちゃん、めっちゃ美人や」
「何処がだよ?」
奏はやばいと感じた。
このままいけば依奈の素顔がバレてしまう。
それだけは避けたい。
「…依奈。」
奏は姉を呼んだ。
悠真と薫に視線がいっているために残り二人は気付かない。
「なに、奏く「行くぞ」
腕をひかれた。
物音たてずにそっと教室を抜けると走り出す。
「っ、奏く、」
「お前は、少しは気をつけろよ!バレたくねーんだよアホ!」
何が?
依奈にはわからない。
首を傾げると、奏は口を開いた。
「依奈が、本当は可愛いってこと。誰にもバレたくない。」
ピアスが風で揺れた。
依奈は驚き、目を見開く。
