他の生徒からしてみれば、依奈の否定は嫌味にしか聞こえない。
依奈は押し黙る。
「…、佐藤悠真…あんた達何考えてるのよ。」
恵美は睨む。
「達?…俺は個人で動いてるぜ?」
「嘘よ」
「…あーうぜぇ、これ以上何か言ったら殴る。」
「っ、」
恵美は何も言わなくなった。ただ、どうしようもなく怖い。
「恵美ちゃん…」
「ははっ、」
悠真は笑う。
依奈は何もできず、悠真を見ていた。
あっというまに時間はたち、放課後に変わる。
依奈と恵美は嫌々教室に残った。
部活は休む事にした。
いっそのこと、このまま時間が止まってしまえばいいとさえ感じる。
がらり、
教室が開く。
悠真が、誰か連れてきたのだ。
一年、
橘薫。
山本秋。
そして幾多奏。
奏は目を見開き、依奈を見た。
「…なんでいんだよ」
唇がそう動いた事に気が付く。
何も言えなかった。
「アイツ等には先に行って貰った。」
アイツ等、とは3年の女子生徒の事を指すのだろう。
奏は頷いた。
