バカらし。
薫に無理やりつれてこられた執事カフェ。

即面接が通り働くはめになるなんて。

バイトはしなければならないと思っていたが他にも選択肢はあったはず。

「…はぁ、」

ため息をついて、立ち上がった。

時給はいいから、我慢すればやっていけるけど女性客がどうも苦手なのだ。


「何さぼってるの?研修生くん。」

「あ、如月さん…」

厨房でバイトしている如月弥生(きさらぎ やよい)はひょっこりと顔を出してきた。

何かと構ってくる彼女はサバサバしていて絡みやすい。

「ちょっと疲れたんで休憩中」
「まだ休憩時間は早いはずでしょー?頑張りなさいよ」

年齢は3つ上、の割に子供っぽいところがある。

奏は頬を膨らませている弥生を見て笑い、わかってますよと返事をした。

「…弥生でいいのに、」

「え?」

「弥生でいいって!堅苦しいの苦手だし。よろしくね、奏。」

「あ、ハイ」