ほぼ強制的に連れていかれた奏を哀れに思いながらも頬が緩む。
「はあっ、はあ、恵美ちゃん!」
親友の声に振り向けば依奈が立っている。
「さっきぶり。」
「う、うん」
地味スタイルになっていた依奈はなんだかぎこちない。
「で、急で悪いんだけど…」
「早くいこーぜ」
がしっ、と秋が二人の腕を掴んだ。
引っ張られるような形で歩く。
「どこいくのっ!?」
「バイト先だよ。…薫と奏くんの」
「ええっ!?ど、何処でバイトしてるの!?」
依奈の言葉に二人は顔を見合わせて笑った。
「執事カフェ」
…。
本気なのだろうか。
依奈は驚いて声がでなかった。
「…あの、あたし、奏くんと会うのはちょっと…」
さっきの事もあるし、と言葉を濁す依奈を気にせず歩き続ける。
「ねえ依奈、」
「…?」
「奏くん、あんたを信じてるんだよ」
