失恋はつらい。
今まで恋なんて知らなかった。
こんな気持ちもはじめてなのだ。
バン!
勢いよく扉が開いた。
「依奈!」
幾多奏。
珍しく息を切らせている。
「はよ帰らへん?」
「そーそー!もう疲れたし!」
いつものメンバーに笑みが溢れる。
「じゃあ、帰れば?」
大地は立っている恵美を三人の元に押した。
そして依奈の腕をつかみ引寄せる。
「ばいばい。」
「は?、依奈も帰るよ」
「…奏くん、あたし、帰れない。」
「何言って、」
「ごめんね、大地くんが好きなの。…明日、婚約式するんだって」
無理矢理つくる笑顔。
大地以外は顔を歪める。
「…嘘つくな」
「嘘じゃないよ。」
ちゅ、
大地の頬にキスした。
一同唖然としている。
1人、奏を除いては。
「…俺、帰る。薫、悠真は背負って」
「…あ、うん。」
