「心のどっかで依奈ちゃんを憎んでるクセに」
親友のふりしてんだから。
「違うわよ!何勝手な事言って…」
「橘薫と幾多奏。二人で迷ってるんだよね?」
すべてお見通しだと言うかのように大地は笑う。
「ちがうの、依奈、私…」
「いいんだよ?」
焦っている恵美に微笑む。
「…あたしね、恵美ちゃんのこと親友だと思ってるから!」
それに、 好き は止められない事も知っている。
「依、奈…」
「あたし、大地くんが好きになったの。」
うまく言えただろうか。
涙はでていないだろうか。
恵美が、自分と同じ人物を好きになってしまったのなら、手を引くつもりだ。
それに、自分のせいで想いが通じなくて嫌な想いをする人がいるのなら、
最善の道を選びたい。
「…大地くん」
きっと、彼もこんな気持ちだったのかも。
ずっと恵美への想いを我慢してきたのに、叶わなかった。
