「約束通り、婚約しよう。」

理解できないよ。
なんで急に婚約になってるの!?

「…依奈、」

「恵美ちゃ、ん?」
「ごめん。」

何が?


「ねえ、大地くんは、恵美ちゃんが好きなんでしょ?なのにどうして、」

「好きだよ?けど、もう遅いよ。気持ち伝えられただけマシ」

恵美はどんな返事をしたのかわからない。

けれど、良い返事をしたのではない事は分かった。

後ろを向いたふりして隠しているつもりかもしれないが、

涙が見えた。

大地は依奈の腕をとる。

彼女もそれを拒もうとはしない。

「依奈ちゃ「秋くん、また後でね!」

大地の話が聞きたい。

素直にそう思った。

彼は檻の鍵を秋に投げつけると依奈と共に部屋をでた。

「…大地くん」

「俺、最低だって。大嫌いって言われた」

無理ないか、と笑う。

「だからこう言った。
アンタも最低だろ?って」