「…なんかごめんね、せっかく来てくれたのに。」
依奈は大地が恵美と話がしたいのだと言って、
協力していたのだと説明した。
二人は客室前に座り込み、会話している。
「いいよ。つか、大地は恵美ちゃんが好きだったんだなあ。」
なんか意外だな!と言った直後、もたれかかっていた
客室の扉がひらき、体が後ろへと倒れる。
「うわ!」 「きゃ!」
「依奈ちゃん、お待たせ。」
意味ありげな口調でいう大地に依奈は首を傾げた。
彼の少し後ろでは、難しい表情の恵美が立っている。
「お話、おわったの?」
「うん、ありがとう。依奈ちゃんのおかげだ…で、明日俺等の婚約式だから」
「「「は?」」」
その場にいた三人の声が重なった。
ちょっと待って、聞いてない。
大地はにやりと笑い、依奈に近づきキスを落とす。
突然の事に避けきれなかったのだ。
「…大地、く、ん」
恵美に気持ちを伝えたのだろうか。
