悠真は入り口を塞ぎ、行かせようとしない。
どうしても行かなければならない。
依奈は壊れないように、眼鏡を外し制服のポケットにいれた。
静かに構える。
「…どうしてもどかないって言うなら、わ、悪いけど、無理にでも、行かせてもらうよ…!」
「上等だ」
にやり、と悠真は笑う。
「ちょっと!依奈!?あんた何考えてっ…」
「ごめん、恵美ちゃん」
ここは引く事はできない。大地が客室で待っている。
二人は、ほぼ同時に動いた。
依奈は悠真の蹴りを軽々と避けて、足を彼の足元に出す。
それに躓き、体制を崩した彼の背中に上から肘を落とした。
ガッ!
「っ、は」
彼女は振り返りもせず、拒む恵美の手を引いて走り出した。
倒れた悠真をただ呆然と見つめる秋。
自分には敵わないと感じる。
けれど、何もしないわけにはいかない。
「秋!!」
奏の声が響いた。
「追え!」
「ーっ、わかった!!」
