とりあえず眼鏡をかけ、地味スタイルに変わった。
「…じゃあな」
悠真はふああ、と欠伸をして学校へ向かう。
「あ、悠真くん!」
依奈はとっさに声をあげた。
「…ありがとう。」
「…別に、」
感謝されるような事は何もしていない。
そんな光景を面白くなさそうな表情で見ていた奏は、依奈をおいて自転車を引いて歩き始めた。
「…依奈、あんたの旦那が怒ってるわよ」
「ええっ!?」
怒るような事したっけ?
…って、旦那!?
ぷしゅ~、と音をたてて顔に熱がこもっていく。
「そ、奏くん!」
「…ばぁか」
呆れ口調でバカだという彼の背を慌てて追う。
恵美もやれやれと言った感じで後に続いた。
正門前。
黒い、怪しい車が数台停車している。
三人は気にしていなかったが、依奈が車横を通るときに事は起きた。
がちゃり、
突然開いたドア。
そこからでてくる腕に強く引き寄せられ、車に引きずりこまれる。
